ねじの回転
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『ねじの回転』(ねじのかいてん、The Turn of the Screw)は、ヘンリー・ジェイムズの中編小説。1898年発表。怪談の形式をとっているが、テーマは異常状況下における登場人物たちの心理的な駆け引きであり、心理小説の名作として知られている。
内容
ある屋敷に宿泊した人々が、百物語のように一人ずつ怪談を語る。題名の「ねじの回転」はその中の「一ひねり利かせた話が聞きたい」という台詞からとられている。「幽霊話に子どもが登場することで話のねじにひとひねり加える効果があるというなら、子どもが二人になれば?」「二ひねりになるじゃないか!」。
そのうちの一人が、かつて自分の家庭教師だった女性からの手紙に書かれた体験談を読み始める。彼女はある人から彼の所有する屋敷での住み込み家庭教師(ガヴァネス)[1]を頼まれる。所有者の甥と姪、それに家政婦と召使しかいないはずの屋敷で、彼女は着任間もなく正体不明の男を見かける。それは世にも恐ろしい体験の始まりであった。
10歳のマイルズは何か事件を起こして退学になっている。妹のフローラは8歳[2]。出てくるのは前任のガヴァネスのジェスル先生と下男のクイントらしい。二人の霊から子どもたちを守らなければならない。「私」はマイルズを強く抱きしめ、1分ほどすぎると彼の心臓は止まっていた[3]。
主な訳書
- 『ねじの回転 デイジー・ミラー』 行方昭夫訳、岩波文庫、2003年
- 『ねじの回転 心霊小説傑作選』 南条竹則・坂本あおい訳、創元推理文庫、2005年
- 『ねじの回転』 土屋政雄訳、光文社古典新訳文庫、2012年
- 『ねじの回転』 小川高義訳、新潮文庫、2017年
本作に基づく作品
- オペラ『ねじの回転(英語版)』(ベンジャミン・ブリテン作曲)
- 映画『回転』[4](The Innocents、1961年)。主演:デボラ・カー。
- 映画『妖精たちの森』(The Nightcomers、1971年)。原作の前日談[5]。主演:マーロン・ブランド。
- 映画『ザ・ダークプレイス 覗かれる女』(In a Dark Place、2006年)。主演:リーリー・ソビエスキー
- 映画『ねじの回転』(The Turn of the Screw、2009年)。主演:ミシェル・ドッカリー
- 映画『ザ・ターニング』(The Turning、2020年)。主演:マッケンジー・デイヴィス
脚注
- ^ 川本静子は「幽霊を見たガヴァネス」(『ガヴァネス(女家庭教師) ヴィクトリア時代の〈余った女〉たち』中公新書 1994 のちみすず書房)で当時の〈余った女〉たちの心理を考察している。
- ^ 映画『妖精たちの森』では年齢は上で姉弟となっている。
- ^ どうして殺したのかについてはエドマンド・ウィルソンの評論“The ambiguity of Henry James”[1]が有名。
- ^ 冒頭で「柳よ私のために泣いてくれ」が流れる。川本三郎『サスペンス映画ここにあり』平凡社 2015年pp.435-444)が詳しい。
- ^ 両親の事故死を知らされていない金持ちの姉弟がひっそりと暮らしている。ガヴァネスのジェスル先生は下男のクイントに陵辱されるが、体は惹かれていく。その様子を見たマイルズは姉に似たような行為をする。家政婦のグロースは子どもへの悪影響を考えて二人を解雇する。フローラたちは二人を別れさせたくないと思い、ジェスルに池のむこうの小屋でクイントが待っていると教えるが、ボートには穴が空いていた。ジェスルの遺体を見つけたクイントは酒を煽る。その頭にマイルズの矢が突き刺さり、「すぐにジェスル先生と会えるからね」。新しいガヴァネスがやってくる。
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、ねじの回転に関連するカテゴリがあります。
英語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。
The Turn of the Screw
- The Turn of the Screw パブリックドメインオーディオブック - LibriVox
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