アバドン
アバドン(Abaddon)とは、『ヨハネの黙示録』に登場する奈落の王で、ヘブライ語で「破壊の場」「滅ぼす者」「奈落の底」を意味する。日本語では「アバドーン」とも表記される[1]。
概要
5番目の天使がラッパを吹く時に、「馬に似て金の冠をかぶり、翼と蠍の尾を持つ」姿で蝗の群れを率いる天使として現れ、人々に死さえ許されない5ヶ月間の苦しみを与えるという。蝗害が神格化されたものだと考えられている[2]。
また奈落の主とも言われ、奈落の鍵を管理していて、千年の間サタンを閉じ込めていた[3]。
キリスト教などでは堕天使の一人とされ、ルシファーと同一視されることもある[4]。
一般的には悪魔としてのイメージが強くサタン、サマエルと同一視されることもある[5]。また悪魔の支配階級としてではなく、底無しの穴、深淵などの同義語として使用されることもある[2]。
ギリシア語では「破壊者」を意味するアポリュオン(Apollyon)、アポリオン(Apollion)、アポルオン(Apollon)と呼ばれており[1]、一説ではギリシア神話におけるアポローン(Apollon)が自ら打ち倒したピュートーンと同一視されることによって零落した姿とも言われている[4]。
脚注
- ^ a b 一条真也 2009, p. 59.
- ^ a b 草野巧 2010, p. 34.
- ^ ヘイズ中村 2014, p. 180.
- ^ a b ヘイズ中村 2014, p. 179.
- ^ かみゆ歴史編集部 2019, p. 50.
出典
- ローズマリ・エレン・グィリー著、 大出健訳「図説 天使百科事典」原書房、2006年、ISBN 978-4562039791、30頁
- 一条真也 (2009). 「天国」と「地獄」がよくわかる本. PHP研究所. p. 59. ISBN 9784569673035. https://books.google.co.jp/books?id=Ye6BibXUWksC&pg=IA13#v=onepage&q&f=false
- 草野巧 (2010). 図解悪魔学. 新紀元社. p. 34. ISBN 9784775308196. https://books.google.co.jp/books?id=p1g-DwAAQBAJ&pg=PT34#v=onepage&q&f=false
- ヘイズ中村 (2014). ヴィジュアル版 天使と悪魔の事典. 学研プラス. p. 180. ISBN 9784059144991. https://books.google.co.jp/books?id=TA7mCAAAQBAJ&pg=PA180#v=onepage&q&f=false
- かみゆ歴史編集部 (2019). ゼロからわかる悪魔事典. イースト・プレス. p. 50. ISBN 9784781672014. https://books.google.co.jp/books?id=xKYmEAAAQBAJ&pg=IA7#v=onepage&q&f=false
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