『ストックホルムの密使』(ストックホルムのみっし)は、佐々木譲による日本の小説作品。第二次大戦秘話三部作のひとつである。
新潮社のレーベルである"新潮ミステリー倶楽部"の収録作として、書下ろしで刊行された。
太平洋戦争終戦間際にストックホルムの日本海軍武官がアメリカの原子爆弾使用と、ドイツ降伏3カ月後にソビエトが対日参戦するという情報を得て密使を東京に送る。その密使の活躍を武官夫人が後年回想する形で物語は進行する。
概要
パリに暮らす博打打の不良日本人森四郎はゲシュタポと揉め事をおこし国外追放の身となり、スウェーデンに来た。そこで駐在武官の大和田市郎から極秘情報をベルンの日本大使館に伝えてほしいと依頼される。最初はしぶる森だが大和田夫人の人柄に触れ承諾、亡命ポーランド人将校のコワルスキとベルンを目指す。しかし大使館での接触に失敗、紆余曲折の末シベリアを横断し日本を目指すこととなる。一方、海軍省書記官の山脇順三は海軍の和平派首脳とともに終戦工作に動いていた。彼の身辺を追求する憲兵将校の秋庭保は、憲兵隊の中に米内暗殺の気配を察知するのである。
書籍情報
- 単行本:新潮社より1994年10月上梓
- 文庫化:新潮文庫より1997年12月文庫化
登場人物
- 森四郎
- この作品の主人公。通称「バロン」。日本生まれの孤児だが故あってパリで博打打ちをしていた。トルコ国籍も保持している。パリに住んでいたが、レジスタンスが起した事件に巻き込まれドイツによって国外追放され、ストックホルムに避難。そこで大和田から密使になることを依頼される。
- ヤン・コワルスキ
- ポーランド人。亡命ポーランド軍将校。ストックホルムの日本海軍駐在武官に赤軍の情報を提供するエージェントとして協力していたが、大和田に森とともに日本に向かうことを買って出る。
- 大和田市郎
- 帝国海軍スウェーデン駐在武官。戦争終結のためにスウェーデン王室と接触していたが、アメリカが戦争終結のために原子爆弾を使用するという情報を得て、その前に戦争を終結させるべく情報を東京に伝えるため密使を派遣することにした。
- 山脇順三
- 海軍省書記官(法務官)。高木惣吉少将の密命をうけ終戦工作のスタッフとなる。
- なお、小説三部作に通して登場し、彼の目線で太平洋戦争の開戦から終戦までが描かれる。
- 秋庭保
- 憲兵少佐。終戦派の身辺を探るために山脇に接触。その過程で終戦派高官の暗殺計画の存在を察知しそれを防ぐために行動する。
- 磯田茂平
- 叩き上げの憲兵。曹長。秋庭に忠実に従い米内を護衛する。
- 安藤啓一
- 大日本帝国海軍大尉の戦闘機パイロット。開戦前に日本から零式艦上戦闘機をドイツに空輸する任務にてドイツに着任(ベルリン飛行指令)、そのままドイツ空軍の教官となっていた。森に真理子への手紙を託す。
- 安藤真理子
- 啓一の妹であり、山脇の妻。海軍士官の父とアメリカ人の母をもつハーフである。
テレビドラマ
NHKの土曜ドラマで、1995年10月7日および14日に2時間枠で放送。
キャスト
関連項目
- 小野寺信 - 大和田市郎のモデル
- 小野寺百合子 - 『バルト海のほとりにて 武官の妻の大東亜戦争』共同通信社、1985年
- ミハール・リビコフスキ - ヤン・コワルスキのモデル
外部リンク
土曜ドラマ |
---|
※ 特記がない限りは21時放送、「*」…20時放送。「★」…22時放送。 |
第1次(1975年 - 1984年) |
---|
1975年 - 1979年 | |
---|
1980年 - 1984年 | |
---|
|
|
第2次(1988年 - 1998年) |
---|
1988年 - 1989年 | |
---|
1990年 - 1994年 | 別の愛 - 家族の値段 - 恋愛模様 - 理想の男性 - 新十津川物語 明治編 - チロルの挽歌 - - 新十津川物語 大正編 - 新・王将 - オバサンなんて呼ばないで! - 恐怖の航海 - 潮風のサラ - 春むかし - 新十津川物語 昭和編 - 愛を忘れないで - 流れてやまず - 地球をダメにする50のかんたんな方法 - パパ嘘だと言って - 推定有罪 - とおせんぼ通り - 欅の家 - 大草原に還る日 - 私が愛したウルトラセブン - 消えた金塊ブリンクス・マット強奪事件 - パパとアリスの奮戦記 - ミス・ローズ・ホワイトの秘密 - 春の一族 - 系列(パート1) - オバサン、咲いた! - 三十三年目の台風 - がんばらんば 〜平成の島原大変〜 - 勇士たちの帰郷 - 街角 - エトロフ遥かなり - 愛が聞こえます - 聞こえるかい心の歌が - 五右衛門 - 銀行 男たちのサバイバル - 否認 - 幸福の条件 - 米田家の行方 - 北山一平 アイラブ人生 - 黄昏の甘い恋歌ときめき御用達・おぼっちゃまは元気印! - 系列(パート2) - 秋の一族 - 和菓子の味 - 妻よ |
---|
1995年 - 1998年 | もうひとつの家族 - ゼロの焦点 - 放送記者物語 - 涙たたえて微笑せよ-明治の息子・島田清次郎 - 鏡の調書天使が街にやってきた - 家族旅行 - 天上の青 - 遠い国からの殺人者 - 八月の叫び - 刑事 蛇に横切られる - 新宿鮫 〜無間人形〜 - メナムは眠らず - されど、わが愛 - 天空に夢輝き 〜手塚治虫の夏休み〜 - やらまいか! - 夏の一族 - ストックホルムの密使 - 百年の男鯉のように百年生きろ - 一日三回食後に服用・よひんびん物語 - 大地の子 - 最後の弾丸 - 官僚たちの夏 - ランタナの花の咲く頃に - 水辺の男 - ぜいたくな家族 - 照柿 - 病院 - ちいさな大冒険 - 我等の放課後 - 秋の選択 - 憲法はまだか - 女にも七人の敵 - 新宿鮫 〜屍蘭〜 - おごるな上司! - うどんとビデオ - いのちの事件簿 〜福祉の最前線でケースワーカーは今〜 - 風のねがい - もうひとつの心臓 - 女たちの帝国 - 唄を忘れたカナリヤは… - 生前予約〜現代葬儀事情 - スズキさんの休息と遍歴 - 熱の島で〜ヒートアイランド東京 - 極楽遊園地 - 流通戦争 - 新宿鮫 〜毒猿〜 - 黄昏流星群〜恋をもう一度 - 風になれ鳥になれ - ラスト・イニング |
---|
|
|
第3次(2005年 - 2011年) |
---|
2005年 - 2009年 | |
---|
2010年 - 2011年 | |
---|
|
|
第4次(2013年 - ) |
---|
2013年 | |
---|
2014年 | |
---|
2015年 | |
---|
2016年 | |
---|
2017年 | |
---|
2018年 | |
---|
2019年 | |
---|
2020年 | |
---|
2021年 | |
---|
2022年 | |
---|
2023年 | |
---|
2024年 | |
---|
|
|
土曜ドラマスペシャル(2011年 - 2013年、2017年 - 2019年) |
---|
2011年 | |
---|
2012年 | |
---|
2013年 | |
---|
2017年 | |
---|
2018年 | |
---|
2019年 | |
---|
|
|
|
カテゴリ |