交響曲第51番 (ハイドン)

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交響曲第51番 変ロ長調 Hob. I:51 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが作曲した交響曲である。

作曲年については諸説あり、H.C.ロビンス・ランドンは第52番と同じ1771年から1773年頃の作品としている[1]が、ジェームズ・ウェブスター(英語版)によれば第52番よりもかなり遅い1773年頃の作品と考えている[2]

編成

オーボエ2、ファゴットホルン2、弦五部

ファゴットは低音(チェロコントラバス)と同じ楽譜を使用する。

曲の構成

全4楽章、演奏時間は約24分。

  • 第1楽章 ヴィヴァーチェ
    変ロ長調、4分の3拍子ソナタ形式
    ユニゾンでさわやかに始まるが、ホルンの奇妙な音型が印象的である。70小節目に同じ和音を伸ばしながら小さくなっていく(楽譜上に "calando" と指定されている)冗談音楽風の箇所がある。同様の趣向は第60番『うかつ者』にも見られる。提示部のオーボエによる終結楽句を展開部はそのまま引き継いで始まった後、変ホ長調で偽の再現部が出現する。本物の再現部は最初の4小節が欠けて始まる。
  • 第2楽章 アダージョ
    変ホ長調、4分の2拍子、ソナタ形式
    ナチュラルホルンの時代には珍しくホルンの独奏で始まるが、第1ホルンによる極端な高音(A♭5に達する)と第2ホルンによる極端な低音(自然倍音以外の音)を使用している。主題はオーボエ独奏に引き継がれる。
  • 第3楽章 メヌエット - トリオ I - トリオ II
    変ロ長調、4分の3拍子。
    トリオが2つあるのはハイドンの交響曲では他に例がない。第1トリオが後から付加された可能性もある[3]
    第1トリオは弦楽器のみで演奏され、ロンバルド・リズム(英語版)を持つ。第2トリオでは再びホルンの名人芸が見られ、最高音はB♭5に達する。
  • 第4楽章 フィナーレ:アレグロ
    変ロ長調、4分の3拍子、ロンド形式(ウェブスターは変奏曲とロンドを融合させた形式とする[2])。

脚注

  1. ^ 音楽之友社ミニスコアのランドンによる解説
  2. ^ a b デッカ・レコードのホグウッドによるハイドン交響曲全集第7巻のウェブスターによる解説、1996年
  3. ^ 大宮真琴『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年、177頁。ISBN 4276220025。 

参考文献

  • 『ハイドン 交響曲集V(50-57番) OGT 1593』音楽之友社、1982年。 (ミニスコア、ランドンによる序文の原文は1963年のもの)

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