早瀬昇

早瀬 昇(はやせ のぼる、1955年 - )は、日本の社会運動家。社会福祉法人大阪ボランティア協会理事長[1]などを務める。

経歴

大阪府出身。京都工芸繊維大学工芸学部電子工学科卒業。大阪府立大阪社会事業短期大学専攻科修了。大学在学中に大阪ボランティア協会に拠点を置く「大阪交通遺児を励ます会」「誰でも乗れる地下鉄をつくる会」[2]「月刊ボランティア(現・volo:ウォロ[3])編集委員会」などでのボランティア活動に参加。

大学卒業後、フランスベルギーの障害者施設(L'Arche)で研修。帰国した1978年より、市民活動の総合支援・推進団体、大阪ボランティア協会に勤務。

1991年に事務局長就任後、同協会内に「企業市民活動推進センター」を創設して企業人の市民活動への参加促進、企業NPOの協働推進に努める。また1995年阪神・淡路大震災発生直後に、全国の市民活動団体や経団連1%クラブ、企業などと連携し、「被災地の人々を応援する市民の会」を結成[4][5]。被災地に日本初となる一般市民公開型の災害ボランティアセンターを開設した。同「市民の会」の創設にあたっては、企業市民活動推進センター創設以来、培われてきたNPOと企業の連携実績や、1994年に開かれた第1回全国ボランティアコーディネーター研究集会に参加した各地のボランティアコーディネーターとのネットワークが生かされた。

阪神・淡路大震災後、市民活動の価値に対する理解が広がるなか、日本NPOセンター[6]の創設に参加。また非営利団体の法人格取得規制の緩和を図る市民活動促進法制定運動に関わり、1998年特定非営利活動促進法が成立した。 1999年箕面市非営利公益市民活動促進委員会に参画したのを契機に、多くの自治体で行政とNPOの協働施策推進にも関わる他、2001年に発足した日本ボランティアコーディネーター協会[7]の創設に参画。また社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク[8]、社会的責任に関する円卓会議の創設に関わるなど、市民サイドからCSRの向上にも取り組んでいる。

1996年度~2007年度まで大阪大学人間科学部客員教員(客員助教授→客員教授)。1995年4月~1997年3月 NHK「週刊ボランティア」コメンテーター。2002年4月~2006年3月 NHK「GO! GO! ボランティア」コメンテーター。2006年より2018年まで関西大学経済学部客員教授。2020年4月~2023年3月まで同志社大学政策学部客員教授を歴任。2007年より2019年6月まで大阪ボランティア協会の常務理事を兼任。2010年、同協会事務局長を退任、同協会を退職。2019年6月より同協会理事長に就任。2012年7月から2018年6月まで日本NPOセンター代表理事に就任。

現在、大阪ボランティア協会理事長[1]、日本NPOセンター顧問[9]、日本ファンドレイジング協会[10]理事、日本ボランティアコーディネーター協会理事、日本ソーシャルイノベーション学会理事、公益法人協会理事、国際協力NGOセンター理事、ダイバーシティ研究所評議員、あしなが育英会顧問などを務める。

各都道府県共同募金会が実施する赤い羽根共同募金やNHKが主催するNHK歳末たすけあいなどから、自身が理事長を務める大阪ボランティア協会に、計1185万円の募金が助成されており、「赤い羽根募金の助成で行われた活動」「共同募金助成額」などとして報告された[11][12][13][注 1]

主な著書

  • 『「参加の力」が創る共生社会~市民の共感・主体性をどう醸成するか』(2018年、ミネルヴァ書房)
  • 『ボランティアコーディネーション力-市民の社会参加を支えるチカラ』(2015年、中央法規出版)
  • 『社会起業入門』(2012年、ミネルヴァ書房)
  • 『寝ても覚めても市民活動論~ミーティングや講座の帰り道に読む35の視点』(2010年、大阪ボランティア協会)
  • 『市民社会の創造とボランティアコーディネーション』(2009年、筒井書房)
  • 『学生のためのボランティア論』(2006年、大阪ボランティア協会)
  • 『企業人とシニアのための市民活動入門』(2005年、大阪ボランティア協会)
  • 『ボランティア・NPO用語辞典』(2004年、中央法規出版)
  • 『NPOがわかるQ&A』(2004年、岩波書店)
  • 『ボランティア・NPOと人権 1問1答』(2004年、解放出版社)
  • 『基礎から学ぶボランティアの理論と実際』(1997年、中央法規出版)
  • 『元気印ボランティア入門~「自由」と「共感」の活動論』(1994年、大阪ボランティア協会)

脚注

注釈

  1. ^ NHK歳末たすけあいに関する寄付金は、中央共同募金会又は各都道府県共同募金会が管理し、原則として、拠出者在住の都道府県共同募金会が当該都道府県内の生活困難者等のために公正に助成する[14]。都道府県共同募金会は「配分委員会」を有し、助成団体や金額を決定する。中央共同募金会は47都道府県共同募金会の連絡調整機関である連合会として位置付けられている[15]

出典

  1. ^ a b “役員・評議員”. 大阪ボランティア協会. 2023年1月14日閲覧。
  2. ^ 『ボランティア=参加する福祉』第4章「アクション型ボランティア活動の実際」ミネルヴァ書房、1981年に詳しい報告がある
  3. ^ “大阪ボランティア協会-市民活動総合情報誌『ウォロ』”. www.osakavol.org. 2020年4月13日閲覧。
  4. ^ 『震災ボランティア~「阪神・淡路大震災 被災地の人々を応援する市民の会」全記録』1996年
  5. ^ 『ボランティア革命』本間正明、出口正之編著、「第7章 ボランティア・コーディネーター」藤岡巧、東洋経済新報社、1996年
  6. ^ “日本NPOセンター”. 日本NPOセンター. 2020年4月13日閲覧。
  7. ^ JVCA. “認定NPO法人日本ボランティアコーディネーター協会公式サイト『jvca2001.org』”. 2020年4月13日閲覧。
  8. ^ “社会的責任向上のためのNPO/NGOネットワーク”. sr-nn.net. 2020年4月13日閲覧。
  9. ^ “理事・監事・評議員・事務局一覧”. 日本NPOセンター. 2023年1月14日閲覧。
  10. ^ “日本ファンドレイジング協会”. www.jfra.jp. 2020年4月13日閲覧。
  11. ^ “赤い羽根基金の使い道 - 大阪ボランティア協会”. はねっと. 2023年1月21日閲覧。
  12. ^ “赤い羽根募金の助成で行われた活動(令和3年度の募金をもとに行われた活動)- 大阪ボランティア協会”. はねっと. 2023年1月21日閲覧。
  13. ^ “NHK歳末・海外たすけあい”. NHK. 2023年1月20日閲覧。
  14. ^ “令和4年度(第72回)「NHK歳末たすけあい」実施要綱”. 赤い羽根共同募金. 2023年1月21日閲覧。
  15. ^ “しくみ”. 赤い羽根共同募金. 2023年1月21日閲覧。
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