血と油と運河

血と油と運河
著者 梶山季之
発行日 1975年
発行元 集英社
ジャンル 経済小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 343
ウィキポータル 文学
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

血と油と運河』(ちとあぶらとうんが)は、梶山季之長編小説。中東紛争による石油危機を扱った経済小説[1]

内容

70年代はじめに、石油ショックが日本を襲い、石油製品の価格が急騰する。三星商事の社長・広崎は危機を乗り越えんと石油開発事業に情熱を注ぐ。アラビア半島、ソ連、アメリカ、インドネシアと駆け回り、石油を確保しようと奮闘する。

登場人物

  • 広崎皎介 - 三星商事の社長。東大卒で、前社長をクーデターで倒し、今も会長(前社長)派との対立を抱えている。55歳。
  • 広崎芳枝 - 皎介の二十も年下の後妻で社長夫人。社内では顧問弁護士と浮気をしている。
  • 木島和子 - 皎介の一人娘で先妻の子。 パンなど洋食が好き。
  • 木島宏 - 皎介の娘婿。秘書課長。旧姓を名乗るが、皎介宅で同居している。
  • 山川次郎 - 三星商事の会長。前社長で表向きは勇退という事になっている。広い部屋から追い出され、せまい会長室には不満分子が度々訪れている。
  • 片岡金吾 - 三星商事の取締役。皎介の右腕でやり手。
  • 三橋玖美子 - 片岡の姪で役員付きの秘書。片岡宛ての親書もみな開封してしまう。
  • 木田嘉三 - 皎介の公用車の運転手。
  • マーガレット - ショーパブのゲイボーイ[2]で舞台の花形ダンサー。
  • カール・ロイド - アメリカの新聞記者。ユダヤ系の出自を持つ。
  • シャーリー・ヘボン - フランスの娼婦。
  • ソーニャ - 通訳。正体はソ連の諜報部員。
  • 広崎信二 - 皎介の甥で外務官僚。現在は駐ソ日本大使館員。
  • 詫間夏彦 - 前衛画家。皎介の主治医の息子。
  • 蒲谷数雄 - 三星商事の顧問弁護士。社長夫人の芳枝と不倫関係。会長の山川に逢引の現場を見られてしまう。
  • アデリア - 三星商事ニース駐在所の秘書。皎介の「現地妻」の日仏ハーフ。皎介の子を妊娠したらしい。
  • 高山 - アラビア現地法人の駐在員。皎介派閥に属し、片岡取締役の実働部隊。

発表

1974年から『週刊読売』に連載され、完結後、集英社から1975年に単行本として出版された。

書誌情報

脚注

  1. ^ 石油商戦を描いた企業小説ではあるが、かなりの部分は官能小説で構成されている
  2. ^ 「ニューハーフ」という用語は執筆当時まだない(1980年の松原留美子から)。