松尾歩

 松尾歩 八段
2018年10月2日
名前 松尾歩
生年月日 (1980-03-29) 1980年3月29日(44歳)
プロ入り年月日 1999年4月1日(19歳)
棋士番号 231
出身地 愛知県日進市
所属 日本将棋連盟(関東)
師匠 所司和晴七段
段位 八段
棋士DB 松尾歩
戦績
一般棋戦優勝回数 1回
2015年7月6日現在
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松尾 歩(まつお あゆむ、1980年3月29日 - )は、将棋棋士。

棋士番号231。所司和晴七段門下。愛知県日進市出身[1]

棋歴

プロ入りまで

父(名古屋大学教授・物理学[2][3])から将棋の手ほどきを受けた[4]

1990年、小学3年で、ジュニア選手権小学生の部全国2位になる。

1993年、中学1年で、中学生将棋名人戦に出場するも、途中で敗退。ジュニア選手権中部・東海地区大会中学生の部では、ベスト8に入る。

1994年3月、6級で奨励会入会。1級で2年余り足踏みするも、初段から三段を24勝8敗で駆け上がった。

1999年、三段リーグに入ると14勝4敗で1位となり、同リーグを1期で抜けて四段昇段しプロデビューを果たした[注釈 1]

プロ入り後

2001年度、新人王戦で優勝するとともに、順位戦C級2組で10戦全勝、年度勝率0.744(全棋士中3位)、16連勝(同2位)、32勝(同9位タイ)の活躍をし、将棋大賞の新人賞を受賞。

2002年、第43期王位戦の予選を勝ち抜き挑戦者決定リーグに出場。結果は2勝3敗(中村修及び木村一基に勝利)で陥落。

2005年4月24日放送のNHK杯戦・対先崎学戦で、敗勢の状況から二歩を打って反則負け。テレビ放送される対局での反則負けは珍しく、前年度の豊川孝弘に続く同棋戦2年度連続の二歩の発生ということで話題となった。

2006年、竜王戦2組の3位決定戦を制し、1組に昇級。

2007年11月、ペア将棋として行われた日本女子プロ将棋協会の棋戦である「1dayトーナメント」に男性棋士として初めて参加[注釈 2]。元妻の香織とのペアで優勝した。

2008年、第49期王位戦で6年振り2回目の王位リーグ出場。結果は1勝4敗(井上慶太のみに勝利)で陥落。

2009年、前述の豊川とともに順位戦B級1組に昇級。

2010年、第51期王位戦で2年振り3回目の王位リーグ出場。結果は2勝3敗(佐藤康光及び木村一基に勝利)で陥落。

2011年3月11日に行われた第61期B級1組順位戦最終局(13回戦)は、佐藤康光が最終局を待たずしてA級昇級(復帰)を決め、残る1枠を屋敷伸之と松尾が直接対決(7勝4敗同士)で争う形で迎えた。対局の途中で東北地方太平洋沖地震東日本大震災)が発生し、避難の為に対局を一時中断し、余震が続く中で対局が行われたが、屋敷に敗れ松尾のA級初昇級はお預けとなった。

更に半月後に行われた第24期竜王戦1組の5位出場者決定戦[注釈 3] で、1回戦(対木村一基)に敗れ、4年在籍した1組からの陥落を余儀なくされた。

2013年、第54期王位戦で3年振り4回目の王位リーグ出場。藤井猛大石直嗣宮田敦史に勝利し、最終局の行方尚史戦に勝てば初のリーグ残留が確定すると同時にプレーオフに挑むチャンスだったが、行方に敗れ、3勝2敗の好成績にもかかわらず、順位の関係[注釈 4] から陥落となった。

2014年、第22期銀河戦の準決勝で羽生に勝つも、決勝で同門の渡辺明に敗れて準優勝に終わる。全棋士参加棋戦での初優勝はできなかった。

2016年、第29期竜王戦2組ランキング戦準決勝で阿部健治郎に敗れ、昇級者決定戦に回った。昇級者決定戦では飯島栄治を下し、4期ぶりに1組復帰を決めた。

2017年、第30期竜王戦1組ランキング戦で深浦康市屋敷伸之丸山忠久を下し決勝進出。決勝で羽生善治を下して1組初優勝した。決勝トーナメントでは久保利明を下し、初めて挑戦者決定三番勝負に進出した。反対の山から勝ち上がってきたのは1組決勝で下した羽生善治だった。挑戦者決定三番勝負では第2局を制したものの第3局で敗れ、初の竜王挑戦はならなかった。

2019年の第32期竜王戦で2組へ降級したが、2021年の第34期竜王戦の昇級者決定戦で藤井猛を破り1組復帰を決めた。

2022年、第80期順位戦で2009年から13期連続で在籍していたB級1組からB級2組への降級が決定した[5]NHK杯戦では準決勝で深浦康市に勝利し決勝進出、決勝では豊島将之に敗れ全棋士参加棋戦初優勝は成らなかった[6]

人物

父は物理学者[2]

地元・愛知県で高校に進学するも1年で中退し、上京[2]

自身を「かなり人見知りが激しい」と語る一方で、大変丁寧な対応をすることでも知られている[2]

2005年、同門である上川香織と結婚[7]するも離婚。

13期連続で順位戦B級1組に在籍し、「B1の番人」と呼ばれることもあった[8]

棋風

居飛車党だが、後手番を持つと振り飛車を採用することもある。

序盤研究家として知られ、居飛車穴熊横歩取り先手番で、それぞれ「松尾流」と呼ばれる戦型を考案し、他の棋士にも広く使用されている。羽生善治森下卓らと合同で定期研究会を主催したこともある。

昇段履歴

昇段規定は将棋の段級を参照。

  • 1994年3月 6級 = 奨励会入会
  • 1997年 初段
  • 1999年4月1日 四段(第24回奨励会三段リーグ優勝) = プロ入り
  • 2002年4月1日 五段(順位戦C級1組昇級)
  • 2006年4月21日 六段(竜王戦2組昇級)
  • 2007年9月27日 七段(竜王戦1組昇級)
  • 2015年7月2日 八段(勝数規定)

主な成績

棋戦優勝

  • 新人王戦1回(第32回・2001年度)

在籍クラス

竜王戦と順位戦のクラスについては「将棋棋士の在籍クラス」を参照
順位戦・竜王戦の在籍クラスの年別一覧
開始
年度
(出典)順位戦
(出典)
(出典)竜王戦
(出典)
名人 A級 B級 C級 0 竜王 1組 2組 3組 4組 5組 6組 決勝
T
1組 2組 1組 2組
1999 58 C244 7-3 13 6組 -- 2-2
2000 59 C207 5-5 14 6組 -- 4-1
2001 60 C220 10-0 15 5組 2-1 5-0
2002 61 C126 8-2 16 4組 -- 1-2
2003 62 C104 5-5 17 4組 -- 4-2
2004 63 C114 6-4 18 4組 -- 4-1
2005 64 C111 7-3 19 3組 1-1 4-0
2006 65 C105 8-2 20 2組 -- 4-1
2007 66 B220 7-3 21 1組 -- 2-2
2008 67 B204 8-2 22 1組 1-1 2-1
2009 68 B112 8-4 23 1組 0-1 3-1
2010 69 B105 7-5 24 1組 -- 0-2
2011 70 B104 5-7 25 1組 -- 2-2
2012 71 B108 7-5 26 1組 -- 3-1
2013 72 B104 8-4 27 1組 -- 0-2
2014 73 B104 8-4 28 2組 -- 3-2
2015 74 B103 7-5 29 2組 -- 3-1
2016 75 B103 6-6 30 1組 2-2 4-0
2017 76 B105 3-7 31 1組 0-1 3-1
2018 77 B111 5-7 32 1組 -- 0-2
2019 78 B110 5-7 33 2組 -- 2-2
2020 79 B109 5-7 34 2組 -- 3-1
2021 80 B109 3-9 35 1組 -- 2-2
2022 81 B202 5-5 36 1組 -- 2-2
2023 82 B210 6-4 37 1組 -- 1-2
2024 83 B208 38 1組 --
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。
順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 )
順位戦の「F編」はフリークラス編入 /「F宣」は宣言によるフリークラス転出。
竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。

将棋大賞

  • 第29回(2001年度) 新人賞
  • 第41回(2013年度) 第20回升田幸三賞(横歩取り△5二玉型)
  • 第48回(2020年度) 名局賞 特別賞(第34期竜王戦ランキング戦2組 VS藤井聡太王位・棋聖)[9]

脚注

注釈

  1. ^ 三段リーグ1期で四段昇段の成績を修めた棋士は、松尾以前は小倉久史屋敷伸之川上猛の3名のみ、松尾以降も三枚堂達也藤井聡太齊藤裕也のみである。
  2. ^ 同時に植山悦行七段、片上大輔五段らも参加。
  3. ^ ランキング1回戦で三浦弘行に敗れ、5位出場者決定戦に回った。
  4. ^ 残留者の決定は前期順位の上位者が優先されるため。松尾と同星だった藤井は、前期の王位挑戦者であった。

出典

  1. ^ 「松尾歩|棋士データベース」『日本将棋連盟』。2018年10月3日閲覧。オリジナルの2018年10月3日時点におけるアーカイブ。
  2. ^ a b c d “セクシーな男(松尾歩八段)【叡王戦24棋士 白鳥士郎 特別インタビュー vol.11】”. ニコニコニュース オリジナル. 2020年9月15日閲覧。
  3. ^ “プロ棋士・松尾歩八段、声や髪型に関するファンからの質問に照れながらも丁寧に回答する”. ニコニコニュース オリジナル. 2020年9月15日閲覧。
  4. ^ 『現役プロ棋士データブック2016 下』(将棋世界2016年2月号 付録)
  5. ^ “A級昇級2枠は藤井聡太竜王、稲葉陽八段、千田翔太七段による争いへ 佐々木勇気七段は無念の脱落(松本博文) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2022年2月3日閲覧。
  6. ^ “豊島将之九段、松尾歩八段を破り初優勝 NHK杯将棋トーナメント― スポニチ Sponichi Annex 芸能”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年3月20日閲覧。
  7. ^ “師匠、七段昇段などなど。 - 渡辺明ブログ”. blog.goo.ne.jp. 2020年9月15日閲覧。
  8. ^ “B級1組在籍13年「番人」松尾八段が藤井4冠に完敗「あまりにもお粗末」”. 日刊スポーツ (2021年11月16日). 2021年11月16日閲覧。
  9. ^ “第48回将棋大賞受賞者のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2021年4月1日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • 日本将棋連盟プロフィール
  • 松尾歩 (@ammatsuo) - X(旧Twitter)
  • チーム山崎 (@abT5_yamasaki) - X(旧Twitter)(第5回ABEMAトーナメント)
  • 松尾歩 - YouTubeチャンネル
日本将棋連盟所属棋士 (現役棋士 および 2024年度引退棋士)
タイトル
保持者
【九段 6名】
【七段 1名】

永世称号 襲位者0
永世称号 有資格者

九段
【26名】
八段
【33名】
七段
【44名】
六段
【27名】
五段
【20名】
四段
【15名】
2024年度
引退棋士
 九段  青野照市(2024年6月13日引退)
 八段  室岡克彦(2024年6月18日引退)
 八段  中座真(2024年6月19日引退)
 七段  伊奈祐介(2024年5月10日引退)
現役棋士 全172名(2024年7月23日時点、日本将棋連盟所属) / は2024年度の昇段 / 引退棋士の()は引退日 / 詳細は将棋棋士一覧を参照
第37期竜王戦ランキング戦
竜王
1組
(定員16名)
2組
(定員16名)
3組
(定員16名)
4組
(定員32名)
5組
(定員32名)
6組
(参加70名)
女流棋士
アマチュア
  • 慶田義法アマ
  • 竹内広也アマ
  • 小林康太郎アマ
  • 中川慧梧アマ
  • (出場4名)
奨励会員
次期から出場
★挑戦者 / △次期昇級 / ▼次期降級 / 初参加棋士(棋士として初参加) / 詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照。
名人
A級
B級1組
B級2組
C級1組
C級2組
フリー
クラス
宣言
棋戦限定
出場

2024年度
引退者

先頭の数字は順位(名人、フリークラス以外)/ フリークラスの数字は在籍可能残り年数(2024年度開始時点)
B級2組 - C級2組の * は降級点の数(B級2組・C級1組は降級点 2で降級、C級2組は降級点 3で降級)
詳細については将棋棋士の在籍クラスを参照
新人王戦 優勝 1回
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
関連項目
タイトル戦経験者を除く26歳以下・六段以下の棋士などが参加。★は三段優勝者。☆は出場中に四段昇段(該当4名)。
 
将棋大賞
新人賞 受賞 1回
1970年代
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
前年度の活躍が対象
名局賞特別賞 受賞 1回
2000年代
  • 09 該当なし
2010年代
2020年代
2009年から創設。数字は受賞年。前年度の対局が対象。勝者は左側に表記。
※2018年の牧野光則 - 中尾敏之は持将棋成立局が受賞対象。指し直し局は牧野が勝利。
升田幸三賞 受賞 1回
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
前年度の活躍が対象。< >は特別賞。